LISA - Life Insurance Surveyor’s Association
2021年2月号
1、生命保険鑑定士の目的と使命
みなさまは生命保険に関連する法規といえば何をイメージしますか。多くの方が「保険業法」を思い出すのではないでしょうか。この法律は保険業の公共性から業務の健全適切な運営や保険募集の公正確保などを定めて契約者保護を図る目的があります。監督官庁は金融庁です。他方、「保険法」という法律があることもご存知かと思います。「保険法」は、わたしたちの生活を取り巻く様々なリスクの解決策である保険契約を法律として定義しているものです。つまり保険とは何かについて損害保険、生命保険、傷害疾病定額保険の3種類の契約に分類定義し、保険契約の定義と約款、保険契約の当事者と関係者、保険料の支払い、保険給付の履行期、重大事由の解除、被保険者利益、告知義務、等について定めています。 生命保険鑑定士の目的は、保険法に定められている内容をしっかりと理解した上で生命保険の社会的意義を理解して、地域社会で働き日々生活している一般のみなさんにこの分かりやすい説明者となることです。つまり、募集ありきの利己的発想をなくして自利利他の精神で人を幸せにするため、生命保険鑑定を通じ奉仕する。地域社会への貢献を意識したボランティア精神で行うことは、一般の人々の生命保険への主体的な関心と理解に繋がり、売り手主体の情報の非対称性を解消させるでしょう。これらの考えが生命保険鑑定士の目的と使命です。
2、保険法を学び直す意義
保険法には生命保険の原理原則がしっかり取り決められています。社会保障や貯蓄とは違う生命保険の本質的な価値をしっかりと伝えられるよう、お客様が知っておくべきことは保険法に表現されています。これらを学び直しておくことはみなさまの地位を確立する上でも大切なことです。地域の方々に生命保険の必要性を正しく理解して戴き、その後見込み客になっていただく、このようなwin-winな関係作りこそが信認され持続する関係の基礎となることと思います。
3、生命保険鑑定士の業務領域
一般の方が知らないことを知っている、そしてわかりやすく伝えることができる、これが専門家です。次の4つのプロセス毎に沿い丁寧に行い、信認を高めてください。 (生命保険鑑定業務) 生命保険鑑定士の専門領域はここまで、保険提案と分離することが必要です。
4、社会奉仕を意識した保障鑑定
前述のとおり生命保険鑑定は保険提案を始める前段階までと区切りをつけておくことが大切です。「生命保険はよくわからない」との声を耳にしますが、生命保険鑑定業務を丁寧に行うことはこの解決策になると思います。相手に基礎的な理解がない状態で売り込もうとする、これが失敗の本質ととらえることです。公共性があるからこそ、社会奉仕の意識を持って生命保険鑑定業務を行い、保障の必要性を感じてもらえるようにすること、これが情報の非対称性を解消させるファーストステップであると考えます。
5、情報の非対称性とは
金融業界に限らず様々な販売市場で情報の非対称性が問題視されています。売り手と買い手に著しく不均衡な情報格差があると、情報と知識の共有がない状況を生み出します。保障を概観できる、つまり一般の方が保障の要不要をある程度理解できるようにしてあげることがwin-winな関係作りの基礎となります。
6、生命保険鑑定だけ分離すること
みなさまが「無償で鑑定をうけた以上は提案まで聞いてほしい」という考えを捨てなければwin-winな関係作りはできません。このためにも、生命保険鑑定士業務は以下の点に留意して行ってください。 ①提案に入らず分離して一旦終了させると宣言すること。 ②奉仕の精神で一緒に考え、教えることを繰り返すこと。 ③「保障の要不要」「保険の要不要」まで丁寧に行うこと。 生命保険鑑定士資格を取得されたみなさまは、これを期に意識して従来のプロセスと分離して活動してください。保障を概観(客観視)する専門家として、愚直なまでにこの行動にこだわり地域で確固たる存在となって戴きたいと思います。 本会も引続き会員相互の情報共有化のしくみ作り、生命保険鑑定士資格のPR、エリアへの展開など、会員のみなさまへのサービスの充実に努めて参ります。
以上