LISA - Life Insurance Surveyor’s Association
みなさま益々ご活躍のことと存じます。今回も前号に引き続き、FDマスター受講認定制度、基本教程内容についてお伝えします。
1、FDマスター受講認定制について
これからの保険募集では、コンプライアンスとFDが知識と意識となり、車の両輪のように機能するでしょう。
生命保険鑑定士の根幹をなす理念である、フィデューシャリーデューティー(FD)顧客本位の業務運営の考えは欧米諸国では十数年以上前から導入され、顧客へも浸透し定着しています。顧客が信頼できるアドバイザー選びをする際の判断基準として、FDへの取り組み表明や決意宣言等が利用されています。
金融庁でも5年程前からこの考えを採択し意識の定着と行動の推進が図られています。しかしながら未だ浸透の途上であると思います、今後この取組は着実に進み顧客によるアドバイザー選びの過程で標準的な形になるでしょう。生命保険のアドバイスを誰から聞こうか、誰にプランニングを頼もうか、FDは顧客による取捨選択の判断要素となることを示唆しています。FDマスター修了者は、FDの認知度や意義の高まりにつれ一段と顧客から差別化され選ばれる、このような高みを手にすることでしょう。FD実践の証としてFDマスター修了認定を受けてください。
本会ではこのような変化に先行し、みなさまにこの価値を享受していただくためFDマスター修了認定を開始します。FDの実践により保険営業の高みを目指す、このために従来からのコンプライアンス知識に加えFDに関する知識と意識を高め、顧客に伝わる行動をする。このために是非FDマスターの受講認定を受けてください。
2、受講認定制の概要について
今秋からの導入準備を進めている新制度は次の通りです。
・新規資格取得希望者はFDマスター受講認定を1級生命保険鑑定士資格取得の要件とする
・既に資格取得済の場合はFDマスター受講を推奨する(特待生制度が適用される)
・FDマスター受講しない場合も1級保持は従来通り継続される(従来からの変更はない)
・特待生制度は、1級資格保持者、代表幹事およびその推薦者に適用される
・受講、受験、認定は月次単位での定員制募集となり、通信制で実施される
・FDマスター取得者には、デジタル修了証、専用プロフィールページ、顧客提示用QRコードなど、顧客向けPR機能が新たに提供されます。(実質無料:使用料は従来の月次認定登録料に含む)
3、「生命保険鑑定士標準教程」の内容について(続編)
生命保険鑑定士がFDの精神で顧客本位の業務を行うことは、顧客最も期待している価値をもたらしこのブランドを得ることになります。ご本人にとっても誰のために働くのか?何のために働くのか?仕事への想いとやりがいが鮮明になると思います。これらは未来へ続く保険営業の持続モデルとなり、プロフェッショナルとしてのプライドと自分らしい生き方の行動指針にもなることでしょう。
教程は正しい知識にもとづいた行動が行えるよう、①ルールベースとしての保険募集コンプライアンスの知識と確実な履行、②プリンシプルベースとしてのFD主体的行為者たる行動、これらを学び確認と意識を高めることを目的としています。今月もこの一部を抜粋し、2章 鑑定倫理とフィデューシャリーデューティー:①顧客本位の業務運営に関する原則、②顧客本位と顧客満足の違い、について事前公開します。
・誰のために働くのか: 保険募集人が顧客本位な業務を進めるうえで、顧客との共通価値の創造がキーワードであり、FDはやりかた論やテクニックではない、コンプライアンスルールでもないことを理解する。顧客の信認を裏切らないためには「もっぱら顧客のために行動する」事が必要であり、自己の利益を第一に図ってはいけない。業務運営の原則では報酬手数料面での合理性が求められているが、これは役務サービスの提供に値する水準であることを指している。
・何のために働くのか: 業務運営原則では、金融業界本位の受動的な体質(リアクティブ)から脱却し、主体的(プロアクティブ)な行動への意識改革を求めている。「脱標準化」を意識した各自のベストプラクティスを実現すること、この仕事で「オンリーワンの自分」を創ることを考える。対面営業では、対面にふさわしい営業の質が求められ、報酬手数料もこれにふさわしい水準となって利益相反を起こさないことが肝要である。顧客本位とは、この考え方を自身に問いかけ、そして同意することである。
・賢くない顧客をもちあげる営業: 「顧客満足」と「顧客本位」は本質的に意味が違う。ギャンブルや宝くじのように、顧客が目先の欲求や現実回避でいっとき満足感を得る事もある。投機、節税、財テクをすすめる行為は最終的に顧客の利益になるとは限らない。一方で「顧客本位」な営業では中長期的に重要な事を顧客に気づかせる、顧客のために必要な事はたとえおせっかいな苦言であっても行う。顧客に事の本質を理解し気づいてもらうことは、その情報の非対称性を解消させる。
・顧客を賢くする営業: 顧客本位とはいっときの表面的な顧客満足に反することも辞さず、長期的な顧客の利益を守ることである。目先の「顧客満足」を得るため、もちあげて気持ちよくする行為、熱心な営業で感情を必要以上に揺さぶる行為、これらは顧客に誤った理解と無駄な消費をすすめることとなる。生活のリスク、人生のリスク、といった潜在的な事象は顧客の耳が痛いこともあるが、正しい認識を持つよう諭すことでより合理的な消費を促すこととなり、この結果信認関係が築かれる。
今秋以降、生命保険鑑定士資格新規取得時には通信制による教程学習と適性試験を実施します。1級合格者にはFDマスター(専門家)修了を証明しますが、この証となる新たな付加価値を追加するしくみも導入します。なお、すでに1級資格をお持ちの方でFDマスター修了を希望する場合、補習受講いただきますが試験後の判定は特例免除する予定です、今後の展開にご期待ください。
理事長記