LISA - Life Insurance Surveyor’s Association
2022年4月
みなさまいつも大変お世話になっております。感染症、国際情勢、経済など、私たちの生活をとりまく環境が激変し始めました。このような変化や変動リスクに対する防衛策としてみなさまの仕事が重要となっています、是非「生命保険鑑定士」資格も有効にお使いいただきたいと思います。今号から数回にわたり、「顧客本位の業務運営(フィデユーシャリー・デューティー)」に関する原則と生命保険鑑定士資格の共通性、そして本会の今後の展開計画についてお伝えします。
(1)顧客本位の業務運営に関する原則について
金融審議会(金融担当大臣の諮問機関)では、市場ワーキング・グループが設置され「国民の安定的な資産形成」と「顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)」等の審議が行われて来ました。ここでは金融事業者の在るべき姿として、自ら主体的に創意工夫を発揮し、ベストプラクティス(最善の方法、最良の事例作り)の高みを目指すことが望ましいとされています。
このような過程を経て「顧客本位の業務運営に関する原則」が策定されました。ここでは形式ではなく実質において業務運営できるよう「プリンシプルベース・アプローチ(原理原則を明確に示す)」を採用しています。つまりこれからの生命保険従事者は、この趣旨や精神を自ら咀嚼した上で「何を」「どうやって」「いつまでに」実践するのか、これらを適切に考えて行動することが求められています。
この原則は次の7項目に整理されています。(原則1)方針の策定・公表等、(原則2)顧客の最善の利益の追求、(原則3)利益相反の適切な管理、(原則4)手数料等の明確化、(原則5)情報の分かりやすい提供、(原則6)顧客にふさわしいサービスの提供、(原則7)従業員に対する適切な動機づけの枠組み等、です。
保険代理店など金融事業者がこの原則を採択する場合、明確な方針を策定・公表した上で、方針の取り組み状況を客観手的水準となるKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)を設定して定期的に公表するとともに、定期的に見直すことが求められています。金融庁のホームページにはこれらの方針や成果を公表する保険代理店や金融機関などの金融事業者リストが掲示されています。顧客から選ばれる存在であり続けるため、顧客本位の業務に対す姿勢を積極発信してゆくことが必要となるでしょう。
生命保険鑑定士資格の目指す先は「顧客本位の業務運営」と一致しています。本会では生命保険鑑定士資格を得た個人のみなさまがますます顧客から差別化され、プライド高く他のセールスパーソンとの違いを表現できるような展開を戦略の柱として進めて参ります。
(2)生命保険鑑定士の社会的使命
前述のとおり生命保険鑑定士資格は、生命保険従事者個人として行動する「顧客本位の業務運営」と密接な資格です。顧客本位な行動の基本は「情報の非対称性」解消に努め公正な情報提供を行うこと、つまり真の保障ニーズを理解いただくために買い手と売り手の知識差を埋める役割を果たす専門家であるべきと考えます。そしてこの姿勢がお客様へとしっかり伝わるよう発信することでしょう。
さて、生命保険は金融商品としての機能と人の感情に応える機能を兼ね備えた独特のしくみです。人の人生において誰もが求める安心感、誰もが払拭したい不安感、これらのニーズに対して論理をもって感情に訴えることができます。自分と家族について抱く将来の夢の実現欲求について、これを阻害するリスクは排除をしておきたいものです。ポジティブな欲求とネガティブな要因を、総合的かつ長期にわたって準備するしくみこそが生命保険そのものです。
金融商品の情報は買い手と売り手の間に情報の非対称性が起きがちです。この解消に努め「顧客本位の業務運営」に努めることが生命保険鑑定士の使命であり、FD(フィデユーシャリー・デューティー)を大義名分とし率先垂範することで他者との違いも表現できるでしょう。(次号では「情報の非対称性と解消への課題」を深堀りしてお伝えします)
(3)今後の展開計画について
生命保険鑑定士資格認定事業を開始して1年以上が経過しました、この間多くのみなさまからご賛同得て初期の立ち上げ段階を完了しました。資格認定者数も400名に近づき代表幹事のみなさま、資格認定者のみなさまのご協力に心より感謝申し上げます。今後は「生命保険鑑定士」の社会的使命とその価値を高め、みなさまのFD推進を手助けする、この目的達成へと戦略的な体制強化を順次進めて参ります。
2022年はこれらの整備期間と位置づけ、理事会における執行体制の強化、人的資金的拡充、これらを基礎にした事業展開を鋭意進める所存です。現在この実行プランの検討をすすめていますが固まり次第公表させていただき、以後随時進捗状況をお伝えします。強化策は、次の項目毎に緊急性重要性に基づいた評価を行っています、施策毎の実効性と費用対効果で優先順位付けしながら進めて参ります。 ・体制強化策 ・情報発信策 ・情報共有策 ・広報施策 ・資格教育 ・試験制募集 ・資格普及策 これらの具体策について今後数カ月をかけて順次お伝えして参ります。今後の発展計画にどうぞご期待ください。
理事長記