LISA - Life Insurance Surveyor’s Association

お知らせ

レポート2021年12月01日

事例レポート (個人編その3)


2021年12月号

生命保険鑑定士事例レポート(個人編その3)

みなさまこんにちは、早いものでもう師走ですね。
さて、今回は保障鑑定®における具体的なお客様インタビューの手順と留意点について説明します。

(1)純粋リスクの優先劣後順位づけ
純粋リスクとは「個人の努力だけではどうにもし難いリスク」です。対策は①(回避)その行動を取りやめる、②(転嫁)生命保険などに経済的に肩代わりさせる、が考えられます。お客様にこのリスクに気づいてもらうためには「右脳による直感的理解」から始めます、その後「左脳による論理的整理」へと進めていくことが有効です。つまり、リスクに対する気づきの場面を作りその共感を得ることが先決なのです。これで保障鑑定®による必要保障の順位付けをするための準備が整います。これが保障鑑定®におけるインタビューの目的と流れとなります。

(直感的インタビュー項目例)
a.あなたが万一の際残された家族の生活を守りたいですか? (はい、いいえ)
b.老後の生活をするため公的年金以外の資産形成をしたいですか? (はい、いいえ)
c.疾病や災害で医療や就労制限による経済的打撃を軽減したいですか? (はい、いいえ)
d.子供の教育や入学資金の準備と運用をしたいですか? (はい、いいえ)
e.マイホーム購入や買い替え資金の準備と運用をしたいですか? (はい、いいえ)
f.子供や孫を想い財産継承の準備をしておきたいですか? (はい、いいえ)

①まず各質問に直感で「はい」「いいえ」とお答えいただいてください。
②次に「はい」についてお聴きください。その準備はしてありますか? (はい、いいえ)
③現在準備がなく「いいえ」とお答えいただいた項目が純粋リスクの素となります。

続いて純粋リスクの濃淡づけです、濃淡とはa.◎是非準備したい、b.〇できれば準備したい、c.△今は準備しない、程度で良いでしょう。保障鑑定®でご留意いただきたいことは、お客様には直観的に右脳で感じてもらう事、そして感じたことを尊重し共感しながら優先劣後づけを左脳に語りかけることです。これがニーズの濃淡付けの基本形です。商品販売ありきではなく、保障鑑定®で丁寧にインタビューを行い次のステップへと進みます。

(2)生命保険鑑定®は「保障鑑定」と「保険分析」
保障鑑定®で得られたリスクの濃淡を共有したら、この課題解決策へと進めてください。明らかになった純粋リスクのうち、◎是非準備したい、〇できれば準備したい、と感じたことを必要保障額として数値化させます。これらの必要保障額は通常お使いの方法(ソフトウェアなど)を使い示していただければ結構です。必要保障額に対し現状どの程度確保できているか「加入済保険分析」へと進んでください。これでお客様は課題(ギャップ)を認識します。生命保険鑑定はここまでです、生命保険鑑定士は専門職業人の立ち位置で課題認識共有と解決策を示すことが使命であると思います。

さて、売り手と買い手に不均衡な情報認識の格差があると、歪みが利益相反性を生じさせて販売の健全さを失うとされています。このような状態を「情報の非対称性問題」といいます。消費者が日常的に目に触れて購買している商品は、経験則があるため一定の判断力が働いて「情報の非対称性問題」はあまり起きません。一方で日常的に目に触れにくい生命保険は、「情報の非対称性問題」が起きやすくなります。純粋リスクを共有する姿勢が希薄な者が無形で複雑な商品を売ろうとすると利益相反を起こしがちです、つまり売るために都合の良い情報を示し、不都合な情報は控えがちになる傾向があります。

(3)生命保険鑑定士の顧客本位な立場
生命保険は保障性と貯蓄性を兼ね備え、場合によっては投資性も持ち合わせる無形で複雑な商品です。お客様は金融や保険の知識が不十分な場合もあります。ご自身と家族にとって課題や問題点は何か?これらの準備策として必要な保障や貯蓄の必要性は?要不要は?お客様はこれらの疑問を解消するために顧客本位な専門家からアドバイスを受けたいと思いますが、これを誰にお願いするのが良いのか迷うところです。

生命保険鑑定士は顧客本位を貫き情報の非対称性解消に努め、お客様の疑問を解消させることを使命とした専門職業人としてプライドをお持ちいただいていると思います。これが生命保険鑑定を商品の勧誘を行う前に切り離して行う理由です。生命保険鑑定士は、まず保障鑑定®として想いや夢をお聴きし、このための課題を共有します。そしてこれらの準備策を示して優先劣後づけしながら生命保険鑑定®をすすめます。お客様本位の姿勢で真のニーズをしっかりと見つけ、現状課題とその解決策を共有し濃淡をつけて提示する。このプロセスを丁寧に行うことで持続した信認を得ていくのではないでしょうか。生命保険鑑定士は「保障鑑定®」「保険分析」「生命保険鑑定®」を通じ、顧客本位の姿勢で情報の非対称性解消に努めることが肝要です。次回は(法人編)を予定しています。

®は商標登録済

お問い合わせ、新規入会、バックナンバー閲覧など公式HP: https://lisa-japan.orgからご利用いただけます。事務局、サービスセンター、専門委員一同、みなさまのご活躍を祈念致しております。

一覧に戻る