LISA - Life Insurance Surveyor’s Association

お知らせ

レポート2021年10月01日

事例レポート (個人編その1)


2021年10月号

生命保険鑑定士事例レポート(個人編その1)

 みなさまこんにちは。今号よりみなさまからお聞きした好事例を体系化して、そのポイントをお伝えします。

(1)情報の非対称性解消を啓蒙する
 保障鑑定®を行うことでお客様には顧客本位の姿勢が伝わります。そして「情報の非対称性解消」に努めることが、お客様自身の学びとなります。自分に気づきを与えてくれた生命保険鑑定士への信頼感が高まることを実感できることでしょう。
 みなさまも従来からプランニングに入る前にはヒアリングを行っていると思います。しかしながらプランニングを目的に行うヒアリングでは情報の非対称性はあまり解消されていません。さまざまなリスクを整理してから保障と保険の要不要を考える、お客様にはリスクマネジメントを理解する過程で保障鑑定を顧客体験していただくこととなります。このようにニーズが形成される上流部分で、お客様が主体的に課題整理を行うこと自体が新しい価値を生み出します。
 お客様自身で課題整理できるようサポートすること、お客様は自身のリテラシーが高まる体験をして情報の非対称性解消に役立ったと感じます。そして生命保険鑑定士の奉仕の精神も伝わることでしょう。

(2)あるべき姿のイメージを共有する
 リスクは未来に向かう過程に存在します。ご自身と家族の将来やビジョンが不明瞭なままでは不安感を持つだけとなり、人は行動を起こしません。あるべき姿をイメージできればその過程で存在するリスクを課題として認識し、そして解決する意欲も湧いてきます。
 このためにはご自身と家族について、なりたい未来となりたくない未来を少し考えてもらい、起きてほしくないことも確認して行きます。生命保険鑑定士認定者として保障鑑定というプロセスを専門領域にして、丁寧にあるべき姿をイメージしていただく事から始めることが肝要です。
※(起きてほしくない例)死亡、障害、重度疾病、家族の困窮、老後の困窮、病気、介護、相続

(3)リスクを課題として挙げる
 いくつかのあるべき姿のゴールを描き、そこに到達する間のリスクを一緒に考えてください。子供たちを育て上げること、家族が住まう場所を作ること、子供たちに教育機会を与えること、老後の生活資金を準備すること。このようなことを成し遂げるうえで障害となるリスクは何か、ここを一緒に考え課題としてとり挙げます。

(4)リスクはマネジメントできることを教える
 リスクに対し漠然とした不安を持つのではなく、リスクをマネジメント(管理)することでチャレンジの幅が広がることを伝えます。リスクは課題として整理する意識を持つ事、お客様にこの気づきの機会を作ることが大切です。リスクマネジメントとは、想定されるリスクを重要性と緊急性で分類管理しながら低減または回避する方法です。多くの企業でも持続的発展のためリスクマネジメントを経営に取り入れています、ここでは自助努力では回避できないことを純粋リスクと呼びリスク量を数値化しています。そして重要性と緊急性で分類しトップリスクとしていくつかを選び、これらを優先課題としてその対策を行っています。

(5)個人の純粋リスクを明確にする
 個人ではあるべき姿になるまでの間「学ぶ力」「稼ぐ力」「備える力」を高めることが自助努力によるリスク低減の方法です。一方で純粋リスクとしては、死亡や健康など想定外の危機、将来必要な資金の枯渇、トップリスクを認識すると見方が変わります、そして解決する意欲が湧いてきます。

※(想定される課題例)
a. 万一の際残された家族が経済的困窮を未然防止するための死亡保障
b. 重度疾病や災害などによる経済的打撃を軽減するための医療や就業不能保障
c. 教育や住宅購入などの目的達成に対する資金準備、生存保障、資産運用
d. 老後の生活資金を確保するための資産形成、生存保障、資産運用と保全
e. 要介護状態となった場合の不足資金準備、介護保障
f. 次世代への想いの継承のための相続診断、終身保障、資産運用と保全

 保障鑑定はこれらを羅列するのではなく、年代、価値観、想いの強弱をもとに重要性と緊急性の順位をつけトップリスクを絞ることが目的です。お客様は漠然とした不安を抱いた現状から自身の課題が明確化します。保障鑑定は生命保険鑑定の前半部分として、現状の確認と課題抽出を行うプロセスです。トップリスクとして課題をいくつかに絞れば、その解決策を知りたくなります。これが生命保険鑑定の後半部分となりプランニングへの入り口となります。

 次号では課題の濃淡と順位付けを進め、生命保険の優先劣後づけを行う生命保険鑑定後半へと進む流れについてご説明します。

理事長福嶋記

一覧に戻る