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レポート2021年04月01日

生命保険鑑定士会情報レポート 2021年4月号


2021年4月号

生命保険鑑定士会情報レポート


みなさまこんにちは。前号では地域社会における生命保険鑑定士の目的と使命について、掘り下げてお話しました。今回は生命保険鑑定士の目指す社会的地位と保険営業の両立についてお話します。

(付録)法人定期保険契約の評価改正の考察について

1、生命保険鑑定士の社会的地位

 わたしたちの暮らす現代社会は超少子高齢化進んでいます。個人では教育資金の高騰、老後資金2000万円問題、大相続時代の到来、法人では社長の高齢化、事業承継問題、そして終活準備なども喫緊の課題として表面化しています。また、様々な環境変化に対するリスクマネジメントも欠かせません。一方で中流層は上流と下流層に分断されつつあり、もはや格差社会の進行を止めることは困難になってきました。下流に流されまいとの危機感を抱いている人も少なくありませんね。

 さまざまな事を概観して自己の現状認識と将来ビジョンを正しく持つこと、これが下流へと流されない秘訣なのかもしれません。資産形成とその保全に必要なファイナンシャルプランニング(FP)やファイナンシャルアドバイス(FA)、大相続時代に備える相続診断、これらのニーズが顕在化し専門資格者の社会的地位も高まって行くでしょう。

 自分の未来はリスクマネジメント次第で変わるといっても過言ではないと思います。生命保険鑑定士は中長期の課題解決に複合的な利用価値が高い生命保険の機能を、お客様に長い時間軸で分かりやすく説明する専門家です。販売ありきの姿勢、つまり募集ありきの利己的発想をなくして自利利他の精神で地域の人達を幸せにするため生命保険鑑定を通じ奉仕する。このように地域社会への貢献を意識した姿勢で行うことが、お客様の生命保険への主体的な関心と理解に繋がり、売り手主体の情報の非対称性を解消させるでしょう。この目的と使命をしっかり持ち、真っ向から取り組む生命保険鑑定士の姿勢は、お客様の信認を受け地域社会での地位も得ることになろうかと思います。

2、正しい保険営業と生命保険鑑定の両立

 生命保険は社会保障や貯蓄、投資とは少し異なります。生命保険にはリスクを転嫁する保障機能、将来リスクを低減する資産形成機能、次世代に受け継ぐ継承機能があります。お客様は自分のリスクを長い時間軸で認識し、お金のリスクマネジメントと実行準備をすることが大切です。これらがご家族ともども下流へ流されて行かない秘訣であることをしっかりとお伝えください。まずは生命保険鑑定で生命保険の本質的な価値をご理解いただくことが正しい保険営業の一丁目1番地ではないかと思います。

 お客様に生命保険の必要性を正しくご理解戴き、ニーズを顕在化させてから見込み客になっていただく、このように気づきを与えるwin-winな関係作りが生命保険鑑定士信認の源です、そして愚直に繰り返し行うことが地域社会での地位を高める基礎となります。

 つまり、生命保険鑑定はプランニングと一旦分離する必要があります。代表幹事のみなさまには、地域でご活躍の生命保険鑑定士のみなさまを専門家らしく自己紹介する「生命保険鑑定士名鑑(抜き刷りパンフレット)」の実費負担制作をご提案し、ご参加を募っています。地域会単位での制作になりますので是非みなさまでシェアいただく等、代表幹事様とご相談いただければと思います。

(付録)法人定期保険契約の評価改正の考察について

 先日、金融当局は業界大手4社に対し、国税庁が「法人契約の定期保険を名義変更した際の給与課税」につき見直しを検討している、詳細は拡大税制研究会(出席対象を関係会社に拡大し開催済)の場で課税当局も参加し伝える。との通告がありました。

 このような見直し(通達改正や解釈変更)は永らく何度も繰り返されていますが、その源流にある問題の本質は、一部の業界関係者による勝手解釈がチキンレースの如く無秩序に繰り返される事ではないかと思います。過去にも、払済時の評価や年金受給権の評価などの通達改正、年金移行特約の評価解釈など枚挙にいとまがありませんね。

 また、いつからこの通達や解釈変更が適用判定されるのか(いわゆる訴求の有無)、についても毎度様々な憶測が流れます。過去事例を辿れば形式的な契約日ではなく、実質的に約定(確定)されていたか否かが判断基準となっていることがわかります。今回の低解約型定期を含む法人定期保険の契約者変更や本人以外への介護保険金受給権の発生などは、予め権利行使の時期は決まって(約定されて)いません。したがって、当該保険契約日は適用判定の基準にはならないと考えるのが普通ではないでしょうか。

 また、定期保険で支払った保険料の資産計上割合は2年前に改正通達が発遣されたばかりです、この発遣日以前からの契約(保険料を支払うことを約定済)には改正通達前のルールが現在も適用されています(遡及されていない)。これらの整合性を考慮すると、本件は改正通達9-3-5の2以降の契約が今回の新評価改正通達の対象となろうかと思います。

 これらは今後、改正通達案の策定、その事前公表、パブリックコメントの募集、などを経て数か月後には通達発遣に至るプロセスが進むことでしょう。生命保険鑑定士のみなさんは今回の事例をよく考察しておくことで、基本的な考えやその根拠の理解を深めていただきたいと思います。これからもお客様へ不確定な勝手解釈を用いた提案等がなされていないか、今回をケーススタディーして客観的に観る眼を一段と養っていただければ幸いです。

以上


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